FMチューナー

若い人からすると「FMチューナー」って何?って感覚だと思いますが、私ら昭和30年代生まれのオジサンにとってFMラジオやカセットテープは、新しい音楽と出会うための大切なアイテムでした。当時のFMラジオはフェードイン、フェードアウトなしで曲をかけたり、番組によってはLP盤1枚をそのままかけてくれるものもありました。放送側でも1面と2面の間に時間を設け、録音しているリスナーのカセットテープを裏返す時間を確保してくれてました。しかし、所詮は電波、レコードと同じ音質で録るのは難しく、ノイズが入ったりマルチパスで音が歪んだりしてました。今の時代、新しい音楽はネットのおかげで苦労せず入手できますが、ラジオの役割もまだ終わってはいません。頑張れレディオガガ。

FMラジオが良いのは、内外のライブや貴重な音源を放送してくれるところです。(現在では過去形になりつつありますが、良い番組もあることはあります。)特に好きな番組はセッション〇〇と言うジャズ番組で、ライブハウスに行けない時でも行った気分にさせてくれます。(最近、番組が縮小されましたが。)
ただ、私の家では中部電力の高圧線のためか、FMラジオの音が歪んで聴こえます。特にミュートトランペット等は汚い音になり折角の素晴らしい演奏も台無しです。電波を使っている以上どうしようもないことだと思っていました。
これを解決してくれたのが、最近使用しているFMチューナーで、電波のマルチパスによる歪みをキャンセルしてくれる超有効な回路が搭載されているものです。これ、実は、市販品ではなく自作品なんです。(市販品ではアキュフェーズのハイエンドチューナーにマルチパスキャンセラーが内蔵されてます。)

 

FPGA FMチューナー

このFMチューナーの特徴は、アンテナから入った電波を直接AD変換し、デジタル処理で音声を出力するソフトウェアラジオと言うことです。凄いのはマルチパスをキャンセルする機能もデジタル処理の中でやってくれるところです。

原理は全然分かりません。詳しくは製造元である林輝彦さんJA2SVZのFPGAFMチューナーのHPを参照してください。私はと言いますと、林さんから頒布していただいた基板をケースに組み込んだけです。

↑ これがオリジナル(林さんの)の基板(FMDDC-3)です。写真の様にアクリルケースのオプションもありますので、このまま使用することもできます。
しかし、それでは面白くないのでケース(外箱)は既製品を買ってきて加工しました。

 

ケースの製作

 

完成

↑ 組み上げるとこんな感じです。通常のコンポと大きさを合わせてありますので、大分横長です。
右側の黒い箱はACアダプターです。メイン基板の設計者である林さんからは「内蔵しない方が良いですよ。」と言われたのですが、本体ケースにアダプターからのDCコードを挿すのが面倒くさく、メイン基板から離して設置することとしました。

回路図はこんな感じです。光トスリンクジャックの抵抗、コンデンサーはノイズ対策のフィルターです。マルチパスキャンセラーのトグルスイッチは上下とも跳ね返りのもので、通常は、start側もstop側もオープン状態です。

マルチパスキャンセラーも正常に働いております。林さんありがとう。

まずは時報の音がクリアーになりました。これで安心してライブ番組を聴くことができます。
ディスプレイがなかなか良いのですが、何を表示しているかはイマイチ分かりません。

雑感

若いころはケース加工が面倒くさく、基板ができたらそのまま使ったりしておりましたが、今では基板よりもケース加工の方が楽しくなりました。今回、基板は、ほぼ完成した形での納入ですので、ケース加工がメインです。それでも補助基板やら何やらで約1か月以上かかってやっております。
なお、機器を自作の場合には、中身よりもケースのデザインをどうするかから始めた方が最終的に良いものになると思います。