ラジオの製作一覧

aitendoラジオキット(1)

AKIT-164 6石トランジスターラジオキット


近頃、AMラジオの製作に凝っていてAMラジオの頁真空管スーパーラジオの製作の頁を更新したりしております。ラジオの製作は、高周波部分と低周波部分の2つの性質の違うものを両方を楽しむことができ、一粒で2度おいしい的な趣味の世界があります。
そんなこんなで、先日、東京でアマチュア無線フェア2024がありましたので、ついでにaitendoの店舗に行ってきました。土曜日に行ったので10人以上の客がおり、みんなやっぱ安い中華製が好きなんだと再認識しました。aitendoでは安い部品の購入が目的でしたが、ついでに880円の6石スーパーラジオキットも購入しました。衝動買いと言う訳ではないのですが、どんなものか確認したくて思わず買ってしまいました。(ネットでの評判があまり良くなく興味があった。)

↑ 写真は小袋に分かれて入ってますが、これは整理のため私が分けました。買った時はほぼ部全てのパーツが1つの袋に入ってました。超合理的です。

こんなラジオキットですが、私が子供だった1970年代前半では、もっともっと高価でした。(1950年代であれば6石スーパーなんて超高級品だったんですけどね。)
今は良い時代で、aitendoはとっても安価です。しかし、店には50代以上と思われるオッサンばっかで子供はいませんでした。(中学生が少しくらいいても良いと思いますが、こんなものに興味のあるのはジジイだけか。)
気を取り直して買ってきたラジオキットの製作を始めました。他人の設計したラジオを組み立てるのも、責任がなく楽しい作業です。

↑ 早速部品を確認するとプリント基板の発振コイルの中間タップからのパターンが切れています。これが中華品質か、他の部分の気を付けないとな、と思いました。ググってみてもその様な不具合の情報はなく、私のプリント基板だけの不良であった様です。

回路をよく見ると少々、日本の常識と異なる所があります。初段はごく一般的な発振を兼ねた周波数変換で、2段目でIF増幅、3段目はトランジスタ検波段でAGCを2段目に掛けています。
低周波1段目はトランス負荷で低周波2段目をドライブしてます。日本の常識的な回路では2、3段目はIF増幅で、その後ゲルマダイオードで検波します。低周波出力段もトランスでインピーダンス変換するのが普通ですが、経費節減か、そんな日本の標準回路ではありません。

「キットはきっと動作する。」と言う、トラ技の名言に従い、とりあえずこのまま作ってみました。
しかしこのキット、噂にたがわぬ難物で、回路云々以前にプラスチックケースのバリがバリバリにあります。穴の部分等は、真面な穴の開いているところが無いのです。また、材質もプラモデルに使われているスチロール製で、柔らかいのは良いのですが、傷つきやすく削り過ぎてしまいます。

↑ この状態で受信できました。この時点では噂ほど悪くはないと思いました。

プリント基板を組み立てたら一発で音が鳴り「中華製、結構やるじゃん。」と思いました。
早速ケースに納め総合調整しようと思ったのですが、ケースにプリント基板を固定するとバリコンのダイヤルが回りません。なんだかんだ試行錯誤の後、バーアンテナの固定具の位置が間違っており、バリコンとプリント基板の間に挟まないといけないことが分かりました。
今度こそと思いスイッチを入れました。ところが小音量ならそこそこ鳴るのですが、一寸音量を上げるとギャー音になります。ありゃ、中間周波発振だ、と思い、ダンプ抵抗やパスコンを追加するのですが、一向に改善しません。
よくよく調べたら、受信状態でボリウムを上げると、低周波回路が発振するではありませんか。

↑ 基板から低周波部分の部品を外し、その空いたスペースにICアンプ(JRC2135D)を挿入しました。(一寸邪道だったかと後日反省。)使ったICアンプは、AMラジオの頁参照。

私は、いくらポータブルラジオでもスピーカーはガンガン鳴って欲しいと思ってます。
しかし、現状の回路では増幅度も出力電力も期待できません。それと歪みもバリバリにあります。設計者には申し訳ないと思いましたが、低周波部分はIC化しました。ICの場合は回路がBTL接続なので出力が期待でき、増幅度も自由です。ここでは、先に組み立てていたプリント基板から低周波部の部品を撤去し、新たに製作したIC基板を親子基板として設置しました。また、ついでにスピーカーも既存のものから同口径の300円位のやつに取り換えました。能率は多少低下しましたが、音は断然良くなりました。(←元が880円なのに金をかけて改造してどうする?と後日またまた反省。)

↑ 分かりにくいですが、低周波トランス等を引っこ抜いたところに、ICアンプ基板を挿入しています。オリジナルよりも断然音が良くなり、音量も3V電源とは思えない程です。
余談ですがこのラジオ、中間周波数が520kHz付近のようです。
最初、タイニーSAを使って455kHzでIFTを同調調整をしようと思いましたが、全然上手く行きません。455kHzで同調させると感度がどんどん下がってしまいます。
しょうがないのでメッソで調整し、その後タイニーSAで同調周波数を探ったら520kHzだったのです。この状態でダイヤルメモリも合ってましたので、局発もその様に調整され、これは確信犯だと思います。通常のスーパーラジオだとNHK第2(909kHz)にビートが発生しますが、このラジオは平気でした。(CBCにでてるかも。←あまり気にならなかった。)
結果的には、感度も良く、まあまあのラジオになりました。(またまた余談ですが、電池ケースがマイナス極のバネ圧で折れると思いエポキシで固めました。転ばぬ先の杖です。)

2024年09月10日

aitendoラジオキット(2)

K-108B-2 7石トランジスターラジオキット


この数年間、AMラジオの製作に凝っていてAMラジオの頁真空管スーパーラジオの製作の頁を更新したりしております。
今年(2025年)もまた性懲りもなく、東京のアマチュア無線フェアのついでに入谷のaitendoの店舗に行ってきました。土曜日だったのでやっぱり10人程度のオッサン達が集まっており、とても活気がありました。aitendoでは去年に引き続き1500円の7石スーパーラジオキットも購入しました。去年の6石スーパーはIFTが2個の簡易型だったのですが、これはちゃんと3個の本格派?です。(あーだ、こーだ言っても中華キットが好きなんですね。止められません。)

↑ 写真はIFTと発振コイルで、コアが色分けされてない代わりにシールドケースに紅色とか黒色と書かれてます。どこまでコストダウン、それと型番が紅色と黄色は同じです。怪しすぎます。それと、この色表示ですが、aitendoのホームページに記載された回路図が、同HPのプリント基板図と異なっており、その2つが実際のプリント基板図のシルク印刷とも異なっています。一体どれが正しいのでしょうか。
日本の常識なら赤が発振コイル、黄色が1段目、白が2段目、最終段が黒です。シルク印刷はその様になってますので、ここは回路図ではなくシルク印刷どおりに製作します。
また、1段目のベースバイアス抵抗が回路図では220kΩ、部品表では100kΩ、実際の部品は100kΩとなってました。エミッタ抵抗があるので、どちらでも動作すると思いますが、前回製作した中華ラジオが発振ぎみだったので手持ちの220kΩにしておきました。

↑ 電池ボックス部分は例によりプラリペアで補強してあります。電池を入れっぱなしにした場合バネの力でプラスチックが折れると思います。触った感じからケースはABSとかではなくスチロール(プラモの素材)だと思います。
今回、ケースにバリはそんなになかったのですが、バリコンやボリュームのダイヤルツマミがケースにあたって回りません。中華の常(前回のキットで慣れている)ですから地道にやすることにしました。(写真右)

↑ プリント基板は割とすんなり製作できました。回路定数も悪くありません。右はパターン面ですが、IFT等のコイル類のシールドケースは半田付けしませんでした。それは、シルク印刷と回路図のIFTの色が異なっていたからで、一応シルク印刷を信じたのですが、ダメな場合交換できるようにしました。
しかし、シールドケースがアースしてないと回路が発振し、結局全て半田付けしました。(←結果的には、シルク印刷どおりで良好でした。)
また、低周波トランスは緑か黄かの表記がなく、テスターで2次側の直流抵抗を測り、低いものをスピーカー側としました。
中華製キットでは、プリント基板に部品を固定する際に、部品の足を曲げ基板に密着させると言う初心者テクニックは使いません。いつでも取り外せる様に立てたまま半田付けします。メーカー製も大半はそんな感じですし、メンテが凄く楽です。

↑ バラック状態で調整します。最初はピーピー発振しました。こりゃダメだと思い、IFT等のシールドケースを全て半田付けしてからは、うんともすんとも言わなくなりました。
中華製です。ここは焦ってはいけません。
先ずは、中間周波数(IFT黄、白、黒)を合わせます。タイニーSAを出力モードにし、455kHzを終端抵抗で空間結合しますが反応がありません。中華ですから中間周波数が455kHzとは限りません。タイニーSAの周波数を可変すると480~510kHzで信号が入ります。これなら行けると判断し、各IFTを調整し455kHzに合わせました。
通常、IFTは工場で調整されてますからコアの調整は多くて半回転程度なのですが、中華を甘く見てはいけません。IFTによっては1回転くらい回しました。
後は、セオリーどおり520kHzで発振コイル、1620kHzでバリコンのOSCトリマーを調整、次にトラッキングをバリコンのANTトリマーで調整しました。

↑ 全ての調整が終わりましたので、ケースに納めました。感度は抜群です。これで1500円なら、まあまあじゃないでしょうか。
ちなみに、バーアンテナホルダーの固定は、基板のパターン面からポリバリコンの取付ビスで締めてます。そうしないと部品の足の切れ端がバリコンダイアルにあたり回らなくなります。
完成後CBC受信でヒートランさせてましたら、カミさんが、
「なに、この安っぽいおもちゃみたいなやつ。」
中華の浪漫が分からない輩には弱ります。
音は結構大きく部屋で聴く分には何の不満もありません。電源が3Vですから100mW以下でしょうが、良い音がしてます。これは低周波増幅段のドライバートランスと出力トランスのお陰ではないでしょうか。(ちなみに、これは秘密ですが、純正プラスチック製フレームの微弱磁気回路を搭載した純正スピーカーは、手持ちの同口径安スピーカーに交換してあります。その他は純正です。)
またまた、2028年までに間に合いました。

2025年09月15日

aitenndoのロータリースイッチ

2028年問題のためか、この頃、ラジオの製作に凝り固まっています。
しかし、DSPラジオには踏み込んではいけない鬼門の様な所があり(?)、積極的には近付かなかったのですが、とうとう足を踏み入れてしまいました。
ここでは、そのDSPラジオを製作した時の部品であるロータリースイッチについて紹介します。これがなかなか良くできているのです。

↑ 中華製のロータリースイッチ、よく考えてあります。これは2回路用ののですが、最大6接点で、突起の付いたワッシャを写真の穴に差し込むことにより2接点から6接点までを調整することができます。(2の位置に差し込むとツマミが1クリックしか動かない。)ALPHA(ALPSのパクリ?)さん凄いです。

使っている部品は中国製が多く、そのほとんどはaitenndoの通販で購入しました。上の写真の様なロータリースイッチは日本製を探しても見つかりません。ALPSでもALPHAでもホビー用途なら同じです。破格の中華部品は凄く有り難いものです。中国aitenndoさん、このまま頑張ってください。応援しています。
ところで、昔の無線機はトリマコンデンサが経年劣化か振動等で調整がずれ、感度が悪くなることが良くありましたが、現在、調整がずれた無線機なんて滅多にありません。(あくまでも個人の感想ですが)これは勿論、主要回路がデジタル化されたためと思います。TS-520なんかどれ程のトリマコンデンサが使われてたか分からない程大量に使われてました。今の無線機はその1/10も無いと思います。(知らんけど)私のモットーである「無調整は高性能、高寿命、高音質」に合致しています。
しかし、趣味として考えた場合、調整箇所が無いのは一寸寂しいです。それは手が掛かることが趣味として楽しく嬉しいからです。ネットで音楽を聴くことよりもレコードで音楽を聴く方がより趣味的と言えます。レコードを聴くには、レコード盤とスタイラスをクリーニングし、たまには針圧やインサイドフォースキャンセラーを気にし、稀に接続端子を掃除すると言ったことも必要だからです。うーん、これはもうDSPラジオを動作させるPICのプログラミングを自作するしかありません。(無理だけど)

2024年12月11日

PICを使用したDSPラジオ

 

この頃柄にもなくDSPラジオの製作に凝ってます。先日近くのツタヤに行ったところ「DSPラジオの製作ガイド」(後閑哲也著、技術評論社)なる書籍がありました。今どきラジオの製作本なんて誰が買うの?と思いつつ透かさず購入してしまいました。大きい書店なら何処でも置いてあるようで、ラジオって今熱いのか?と不思議な感覚に陥ります。
しかし、よく考えたらラジオの製作が熱いのではなく、PICが熱いのだと言うことが分かります。この本のサブタイトルは「簡単ラジオ&PICマイコンを使った高機能ラジオの作り方」なのです。

 

↑ 本はとても分かり易く、電子工作初心者でも書かれているとおり製作すればDSPラジオを完成させることができるようになっています。勿論プリント基板等は一切使用せずブレッドボード上の実験スタイルではあるのですが、普通にプリント基板で製作すれば十分実用になりそうな感じです。

 

↑ こんな感じでブレッドボードに組み立てる様になってます。(お手軽です。完成前の実験にはもってこいです。)

自分もいつかはマイコンチップを自由に扱うことができたらいいなと思っておりましたので、これを機に勉強してやろう。また、マイコンの達人になっていろんなものが制御できたら最高!と思いました。

↑ 左は、この本の中で使用されているワンチップマイコンのPIC16F18326です。14ピンのDIPパッケージの中に32MHz発振器、28kBプログラムメモリ、タイマ、I²C、PWM、ADC、DAC等々一通りの周辺機能が内蔵され250円とタダみたいな素子です。右はラジオICのKT0913です。パッケージはSSOPでピッチ変換基板の方が数倍でかいです。

書籍には全てのプログラムがコメント付きで掲載されており、これも初心者には嬉しいところです。
第1章は全体説明、第2章は外部制御(PIC)が不要なDSPラジオチップを使用した製作、第3章は局名が表示できるラジオ(あらかじめ登録された局しか受信できない)の製作、第4章は周波数をスキャンできるラジオ、第5章は時計付きの局名が表示できるラジオの製作となっています。

 

第5章 時計機能付き高機能FMラジオの製作

この頃ラジオを作り過ぎてますから、作ってないものを選ぶ必要があります。高性能なラジオチップで、なおかつステレオ再生ができるFMラジオが良いと思い第5章の時計付きの局名表示ラジオを製作することとしました。
このラジオはあらかじめ書き込まれた周波数表から局名や周波数を読み込み動作させるもので自由に選局すると言うことはできません。でもよく考えたらカーラジオじゃあるまいし自由な選局なんて不要です。NHKFM、ZIPFM、FM愛知が受信できれば良いのです。(実際にラジオが聴きたかったらネットラジオでも何でも聴けますもんね。)

↑ 本誌では全ての製作をブレッドボードで行ってますが、製品としてケースに収まった形にするにはやはりプリント基板でなくてはいけません。と言う訳でハードを先行して製作しました。(この時点でPICには何も書かれてない。)

 

全く動作せず

ハード製作と同時にPICに書き込むプログラムを制作しなければなりません。まずは、技術評論社のサポートページからプログラムをダウンロードし動作させてみることにします。
ダウンロードした一連のファイルの中にはPICに書き込むhexファイルが付属しており、それは確実に動作が保証されたものです。

↑ ダウンロードしたhexファイルをPICに書き込んで動作させた時の様子。(局名は空白、周波数は0MHzと表示されている。)
書込み装置が中華製のPICKIT3だからだめなのかと思い、別のプログラムを書き込みますが、何も問題ありません。
さんざん悩んだ挙句、技術評論社のサポートに聞いてみました。そうしたらあっさり「何も受信できないとその表示です。1回でも受信できれば通常の表示となります。」とのこと。アンテナを接続しUpスイッチ、Down、Setスイッチを適当に触っていると動作するようになりました。(それ以降は何もなかったように動作する。←本に書いておいて欲しいです。)
ところでこのダウンロードしたプログラムですが、PICの8ピンがクロックSW、9ピンがダウンSW、10ピンがアップSW、11ピンがセットSWと、本誌のピンの割り当てと全然異なることに気付きました。編集部で追試確認してないのでしょうか。

 

愛知県のリストが入らない

ダウンロードしたhexファイルは東京の放送局リストで作られてます。このラジオを愛知県で聴くためには愛知県の放送局リストをPICに書き込む必要があります。
PICは読み書きが自由なので、まずは実験としてダウンロードしたソースプログラム(Cで書かれている)をコンパイルしてそれをPICに書き込み動作を確かめます。
ところが、またまた、全然動作しません。既設のhexファイルでは動作したのにソースプログラムから再コンパイルしたhexファイルでは動作しないのです。これでは、東京の放送局リストを愛知の放送局リストに変更することなどできません。(著者の後閑哲也さんは名古屋の人らしいのに何で東京のリストしかないの、ちきしょー)

 

苦肉の策

ここに3つのファイルがあります。
① ダウンロードしたhexファイル(動作)
② ダウンロードしたソースプログラムから再コンパイルしたhexファイル(動作しない)
③ ソースプログラムを愛知県の局リストに変更し再コンパイルしたhexファイル(動作しない)
ここで、生成した③ファイルの元のソースプログラムは、②のソースプログラムの周波数、局リストのみを変更します。その他のパラメータは一切変更せず、行を削除したり追加してもいけません。該当県の放送局が少なくリストが余ったらダブらせておきます。
ここで、diffchecker.comとメモ帳アプリを使い、②と③の異なる行を探します。1000行の内40行ほどが異なります。そこが局リストだと思われます。その部分をそれぞれ②A、③Aとします。メモ帳の検索機能で①から②Aの部分を探し、③Aに置き換えれば動作する愛知局リストの入った動作するhexファイル④が出来上がります。この④をPICに書き込めばよい訳です。
一寸姑息な方法ですが、とりあえず機器が動作しないことには話しが進みません。PICの勉強も動作して初めて始めることができます。

↑ hexファイルをこんな感じで印刷すると17頁位になります。異なる部分(局リスト)は約2頁分です。
diffchecker.comで異なる箇所を探しました。(KT0913_Ver2.Xの場合です。Ver3.Xの場合はもっと多くなりますが、局リスト部分は同じと思います。)

 

やっぱPICは難しい

本来ならばソースプログラムを自分で制作しオリジナルラジオを作りたいところですが、これは一寸難しいと言うことが分かりました。
大体サポートページのソースプログラムがコンパイルできないってどう言うことでしょう。初心者には全く意味が分かりません。完成されたソースプログラムの意味はグーグルのCopilotさんに聞けばすぐ分かりますが、コンパイルとなると別問題ですし、そもそもプログラムを一から作ろうとするのは相当な勉強が必要と思います。(根気がないとできないし、本件の様な事例があるとモチベーションを維持するのが大変です。)
でもまあ、簡単なことから気長に行こうと思います。
ところで、この時計機能付き高機能FMラジオですが、Ver2とVer3のプログラムに分かれており、Ver2はラジオ機能のみVer3は時計、目覚まし機能付きとなっています。今回、ラジオ機能のみのVer2を製作しましたが、(単純に時計機能が不要と思ったので)Ver3は今後PICのプログラミング技が向上したら挑戦してみたいと思います。

 

まとめ

ソフトとハード両方で動作する機器は動かない時にどちらが悪いのか分かりません。こんな簡単な物でも半月くらい悩んでました。もうこりごりです。トヨタのプリウスを開発した人達はさぞ大変だったのだろうと尊敬の念を抱きました。
また、作っていて思ったのですが、マイコン工作は面白くありません。動作する場合は普通に動作するのですが、動作しない場合は電源が切れているのと同じ状態です。スーパーヘテロダインの様にダメなときは「ピー、ギャー」言ってくれれば面白いのですけどね。
ところでこのラジオ、完成後の感度はスーパーヘテロダイン並みに良いです。市販のラジオが全部DSP方式になってしまったのも分かる気がします。
また、今回、秋月電子の100円スピーカーを使用しました。このスピーカーはラジオにはピッタリのもので、通常のラジオ用スピーカーよりも高品質な良い音でFMを聴かせてくれます。宮甚商店の宮甚さん紹介していただいてありがとう、YouTubeいつも観ています。

2025年05月28日

DSPラジオの製作

DSPラジオにはマイコンチップが必要?

オールド自作ファンにとってマイコン(Aruduino、Raspberry Pi、PIC等)は鬼門となっており、それを使わなければ動作しないDSPラジオは自作の対象とはなってない様です。
でも実は、古い者ほど新しい物が大好きで、いつかは「C」を勉強して組込みマイコンの実装されたDSPラジオを作ってやろうと画策しています。とは言うもののプログラミングなんて面倒だから勉強しないし、たまに勉強してもなかなか頭に入らないのが現実です。PICでLEDをチカチカさせるだけで大変なのに、これでラジオを作ろうなんて、全然先が見えません。

↑ これは市販品のDSPラジオです。(今どきDSPラジオ以外の市販品の方が少ないか。)バリコン、ボリウム、IFT等の機械部品が要らないし、無調整なので工業製品としてはスーパーラジオなんかより数段優秀と言えそうです。

 

マイコンの要らないDSPラジオIC

DSPラジオと言うのは、入力された電波を直ぐAD変換し、以降の処理をデジタルで行い、最後にDA変換し、音声出力を得ます。したがって、受信周波数、周波数間隔、音量等を全てPIC等のマイコンで制御することが必要になります。マイコンを必要としないDSPラジオチップなどあるのでしょうか。ところがありました。シリコンラボラトリー社のSi4825A10です。

↑ シリコンラボラトリー社はオヤジの工作など相手にしてないのでSOPサイズです。ピンは1/20インチ間隔ですが、個人の工作としてはこれが限界です。これ以上小さくなるとプリント基板を製作するのが難しくなります。

マイコン無しでどの様に周波数等を設定するかと言うと、該当するピンの印加電圧を可変することにより周波数とバンドを決定します。同一周波数帯のバンドが複数設定されており、その各バンドで周波数間隔やエンファシスが異なっているので結構便利に使えます。
中波、短波、FMで計41バンド(ピンの切り換えでプラス18バンドの59バンド)が用意されてます。

 

DSPラジオの特徴

遅ればせながらここでDSPラジオの特徴を説明します。
① 無調整です。
スーパーヘテロダインの様なトッラキング調整が不要です。中波用バーアンテナ同調調整も自動で行います。(ただし、バーアンテナのインダクタンスは450μH以下でないと自動調整範囲に入りません。←スーパー用は使えない。)
② オールバンド、オールモードです。
流石はデジタル。検波器も周波数弁別器もフィルターも全てデジタル処理により行います。
③ 自作に向いているかは疑問です。
ラジオの自作は発振との戦いや、細やかな調整作業に面白味があります。DSPラジオはプログラム作成との戦いでしょうか。(うーん、興味ない。)

 

回路図

↑ 回路は単純です。ラジオチューナーICと低周波アンプICのみです。バンド選択とチューニングは2、3、4番ピンの電圧値により決定します。チューニングのボリウムには10回転ポテンショメータを使用しました。日本製は高価ですが、中華製なら数百円でなんとかなります。(軸がコンマ数ミリ太く、ダイヤルの内径をやすりで削り大きくしました。←結構大変だった。)ICの詳しい動作は分厚いデータシートを参照しないと分かりません。

 

とりあえず製作

↑ 基板の切れ端があったので高級なガラスエポキシを使ってます。他意はありません。ラジオICはパターン面、アンプICは部品面に取り付けますので、ピン配置を間違いないようにプリントパターンを作ります。上部の空きスペースにはバーアンテナを取り付けます。ラジオICとバーアンテナの距離が近いのでノイズを心配しましたが大丈夫でした。
32kHzの水晶は発振しにくい様で、電源スイッチをパシッと入れないと(ウニュと入れるとだめ)動作しません。

↑ バラック状態での動作確認です。恐ろしやDSPラジオ、電源を繋いだだけでガンガン鳴りました。何の調整も不要です。(調整箇所がない)短波もFMも問題ありません。こんな簡単な構造でスーパーヘテロダイン並みの性能です。

 

完成


今回はFMも受信可能ですので、バーアンテナのほかロッドアンテナも実装しております。ケースの裏にチューニングダイヤルと周波数の換算表を貼ってますが(写真は剥がして撮影)、やっぱ一寸鬱陶しいです。ところでデジタルは音質の良いものと思っておりましたが、AM放送の音質が微妙に良くありません。冒頭のAIWAのラジオでは右下に「AM帯域幅」の切り換えスイッチがあり、2k、4k、6kの選択ができるのですが、本ICは4kHzに固定されており、調整の鋭い6石スーパーの音質です。固定にするのなら6kHzにして欲しかったところです。

 

結果

DSPラジオの製作は、趣味としてどうか、?マークが沢山付いてしまいます。自作しているのに何故かキット感が強いのです。やはりトリマーやコアを回す調整作業がないと自作感が薄まってしまいます。たぶん、自分でプログラミングして冒頭のAIWAのラジオみたいなディスプレイを実装したラジオができれば自作感満載になるのでしょう。それをするためにはもう少し勉強が必要です。これについてはST管5球スーパーの自作よりも敷居が高い気がします。気が向いたら取り組んでみることにします。

2024年11月13日