JBLのスピーカーは、もう30年以上前から愛用しています。現在使用している4331Aは4311Bからグレードアップしたもので、20年近く使ってます。(残念ながら新品じゃなく中古です。)オーディオファンとして同じものを20年使用できることを幸せに思ってます。その間に、他メーカーのスピーカーを使ったりしておりましたが、結局残ったのが4331Aでした。
JBLと言うメーカーは自社のサウンドポリシーが明確で、安いものから超高価なものまで同じ音がします。特にスネアドラムのリアルさには驚きます。ジャズファンにユーザーが多いのも分かります。シンバルもちゃんと厚みのある音です。日本のスピーカーをと比較試聴するとよく分かるのですが、日本のスピーカーはシンバルが鈴の音に聴こえます。金属の厚さが感じられないのです。私自身アメリカ製品は、どこか武骨で好きではありませんが、JBLスピーカーは、流石にプロだなと思わずにはおられません。日本の某メーカーの様にラジオ用のスピーカー作りからオーディオメーカーになった企業とは考え方が違うのでしょう。
メンテナンス
JBLのメンテナンスとしてはリコーン、またはリエッジがありますが、そんな大胆なこと、私にはできません。したがいまして、内部のネットワークを弄ってみたいと思います。意外と知られてないのですが、JBLは内部のネットワーク回路、接続端子等が劣化します。
JBLは昔からネットワークに大容量フィルムコンデンサーを使用しており、他メーカー(特に日本のメーカー)が電解コンデンサーを使用していたのと一線を画しておりました。コストからみたら大容量フィルムなんてとても使えません。価格が安く経年劣化のある電解コンデンサーの方が一般的です。「流石はJBL素晴らしい」と思っていましたが、何の気なしに日本製のフィルムコンデンサーに更新しビックリ。音の明瞭度が一段と良くなりました。フィルムコンデンサーの劣化としか考えようがありません。(アメリカ製品では、ちょいちょいこう言うことあります。気を付けましょう。)
↓ ウーハーを外すとその裏側にネットワークボックスが出てきます。外部ネットワーク切り替えスイッチがアメリカンな感じです。
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外したネットワーク
上段のパネルには抵抗、下段にはコンデンサーとチョークコイルが組み込まれ、アスファルトピッチで固定されてます。やっぱアメリカ製だよな。日本じゃ考えられない実装です。
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ばらしてみます
アスファルトピッチは電気ストーブとドライヤーで熱し柔らかくして外しました。フィルムコンデンサーの防湿にパラフィンが使われているのでそれも溶けました。
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新しいコンデンサー
電子部品は日本製が一番。FOSTEXの安いポリプロピレンフィルムコンデンサーのコストパフォーマンスは世界一です。パーツ屋で製造元から購入するより安い?
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オリジナル
世の中にはオリジナルに拘り過ぎる人がいますが、アメリカ製品にその考えは無用です。性能の良いものに取り換えましょう。紙巻フィルムコンデンサーの中身はカリフォルニアの砂が使われてます。
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新しい部品の配置
チョークコイルも取替えようと思ったのですが、同一容量で注文すると形状が大きくなりケースに収まりません。これはオリジナルをそのまま使いました。
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アッテネーター
書くのを忘れてましたが、アッテネーターも定期交換部品です。これはオリジナルも日本製(16Ω)です。
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これがネック
ネットワークを内部、外部に切り替えるスイッチです。音質劣化の要因になっているかと思いますが、代わりの部品がありません。苦肉の策として、余分な回路を省略し上段、下段をパラに使ってます。
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完了
2日間かかって終了しました。こんな保守性の悪い組み方ありますか。音が良いのが不思議です。
16.5はアメリカ製品なのに細かい
アッテネーターの取替えとスイッチの清掃だけでも十分な音質向上ですが、コンデンサーの取替えでもう一段アップします。オリジナルの16.5μFは、10μFと6.8μFをパラにして使います。それじゃあ16.8μFじゃん。元々アメリカ製品ですよ。誤差の範囲内です。おおらかな気持ちで行きましょう。(JBLでは他のスピーカーシステムや単売ネットワークにも16.5μFがよく使われてます。たぶん規格ものなのでしょう。)ところで、オリジナルの紙巻フィルムコンデンサーの構造ですが、紙の筒にコンデンサー本体を入れ上から蝋(パラフィン)を流し込んであります。それは良いのですが、紙の筒の底に砂が入っています。これはJBLの故郷カリフォルニアの砂なのでしょうか。(上記の写真参照)やはり日本の常識では考えられません。
高音のブースト回路はアメリカっぽい
下図はオリジナルのネットワークです。4331のネットワーク回路の特徴としてツィーターに高音のブースト回路が入ってます。3ウェイの4333Aにはありません。これもアメリカらしいやり方ですね。(無駄に3ウェイとするよりもバランス感良好です。)ちなみに、ネットワークの品番は3131Aです。
雑感
2ウェイの4331Aですが、同時期に3ウェイの4333Aも売られておりました。(デザインその他全く同じで2405ツィーターが付いている。4331Aは取り付け穴がメクラパネルでふさがれている。)私の4331Aにツィーターの2405を加えれば3ウェイとして動作します。2405に憧れ、その3ウェイで使用していたこともありますが、これがダメダメでした。高音がうまくつながりません。ない方がましだと思い、撤去しましたが、なければないでナロー感が残ります。(JAZZを聴くのならばそれで十分ですが、クラシックでは余韻感が損なわれます。)それではと、FOSTEXのT925Aを導入しました。これが正解でした。きれいにつながります。流石は日本製品、日本人はもっと日本製品に誇りを持つことが大切です。2405は直ぐ売りに出しました。現在、このT925Aでずっと使ってます。2231Aのエッジは何回か外注で修理に出しました。
↑ フォステクスのT925Aです。ここまでべた褒めのJBLですが、2405ツイータだけは褒められません。2405は中古でもそこそこの値段ですが、それだったらこのT925Aの新品をお勧めします。中高域ユニットJBL2308、2312、2420との相性は抜群です。
日本製であるためJBLより下に見られてますが、性能はJBLを越えていると思います。(私の購入した2405が偶然2個とも悪かっただけ?)
↑ ネットワークは自作しました。10kHzのクロスオーバーで、減衰量は13dBとしました。コイルは0.14mHとなるので市販の規格ものを巻き戻して使用していますが、10kHzでそんなに細かく考えなくて良いと思います。(周波数が高過ぎて分からない。)何ならコンデンサーと減衰器だけでも良かったかな。減衰量は13dBで適量でした。
スーパーツイーターをプラスしますと音の余韻が全然違います。クラシックのみでなくJポップにも威力を発揮します。