AMラジオ

2028年までにAM放送がFM放送に移行されるそうです。特に思い入れのある番組がある訳でもなく、昔聴いた「欽ドン」や「オールナイトニッポン」が懐かしく思えるだけで、これも時代の流れか、と言う感じです。
しかし、そのAM(振幅変調)と言う方式や、MW(中波)と言う周波数、ラジオと言う物体には、凄く思い入れがあります。私は昭和37年(1962年)生まれで、小中学生の時にはポータブルラジオやラジカセ全盛期でした。
そんな時、学研の科学と言う雑誌に「ダイオードラジオ」なるものが付録されたのです。記事を読むと、ダイオードラジオとは「電波のエネルギーによってイヤホンを鳴らす、超画期的なラジオで電池不要」とありました。
確か、小5か小6だったと思います。「ドスゲー、電波って聴こえるんだ。」、「ダイオードって魔法の部品?」と思いました。早速購入し組み立てました。付録は、スパイラルコイルとスライド式バリコンの結構本格的なゲルマラジオでしたが、愛知県の片田舎(幸田町)で、そんなものが鳴る訳がありません。今ならばアンテナを工夫したり、時間帯を考えたりして鳴らす自信はありますが、小学生には土台無理な注文です。
それと、この時代には、既に良く鳴るラジオが沢山あった訳ですから、ゲルマラジオだってラジオと言われたらラジオの様に鳴るものだと思っており、そんなには鳴らないラジオだとは思ってない訳です。
私は「ダメだこりゃ」と思い、次の日、恐る恐る同じクラスの友達に「鳴った?」と聞いたのですが、「鳴った」と言う友達はいませんでした。これが現代なら返品の山です。(当時は、何に対しても寛容な世の中だった。)

↑ 左は当時、学研の科学に付録されていた「ダイオードラジオ」です。中強電界地域ならアンテナさえ工夫すればこんなものでも受信できたのでしょう。写真は学研の復刻ムックで紹介されていたものです。
右側は学研の科学を復刻した「大人の科学」の特別版「真空管ラジオ」です。この真空管ラジオは3球の再生方式なので、弱電界でも割と良好に受信できました。大人の科学通常版ではゲルマラジオも販売されてましたが、弱電界地域ではきついです。(この真空管ラジオとほぼ同じ大きさで、購入したが、邪魔になって捨てました。)


それから時が経ち、中学校の科学部で「ゲルマラジオ」という言葉の存在を知りました。(それまでは「ダイオードラジオ」が正式な名称と思っていた。)滅茶滅茶小さな音でしか鳴らず、昼間のざわざわした環境で聴くのは無理な代物と分かりました。(送信所から近い環境だったらもう少しマシかもしれませんが、幸田町ではそんなもんでした。)
そんなこんなで、先輩や同級生に色々教わりつつ、中2か中3の夏休みの工作で2石レフレックスラジオを作ったのです。これは凄く良く鳴りました。勿論、感度や選択度はスーパーラジオ(一般に市販されていたスーパーヘテロダイン方式のラジオ)には敵いないませんが、NHK、CBC、東海ラジオまで聴けたのです。
名古屋ではお馴染みの「いこみゃーか、てって、てって、てて」みたいなラジオ朝市のリズムが今でも頭の隅に居ます。

↑ これは中学生の時に作った2石レフレックスラジオの再現です。ラグ板で作るのは中々骨が折れます。感度、音量ともイマイチですが、ゲルマラジオとは雲泥の差があります。(当時は大音量に聴こえた。)現代で再現となるとサンスイの純正の出力トランスが800円近くと一番高価な部品となります。

中3では「技術家庭」の中でラジオキットを組み立てる授業がありました。キットとは言え、低周波増幅部はプリント基板の製作(パターンの設計、穴開け、エッチング)まで行う本格的な授業でした。今思うと「先生の趣味か?」って感じですが、当時の私は水を得た魚みたいなもので、簡単に組み立てました。6石スーパーラジオだったのですが、原理も理解していたと思います。
最初の学研付録ラジオから、さほどの年月ではありませんが、子供の成長は早いなと、自分を振り返っても思ってしまいます。

 

子供の科学、初歩のラジオ、ラジオの製作、トランジスタ技術に記載されたラジオの製作

子供の科学、初歩のラジオ、ラジオの製作、トランジスタ技術のラジオ

中学生の時に製作したラジオの再現です。AMラジオの放送終了までに間に合いました。こんな良い趣味がAM中波放送の終了とともに消えてしまうなんて・・・・

中学時代に作ったラジオが懐かしく、一体どんなのだったかもう一度体験したくなります。2石レフレックスなんか物凄い大音量でガンガンなった記憶があるのですが、これって記憶の間違いではないでしょうか。トランジスタがたった2個で、また弱電界地域でそんなに鳴るはずがありません。最初に作ったラジオがイヤホン式の高1ラジオ(イヤホンから蚊の鳴くような音で放送が受信できる。それもNHKとあと1局のみ。)だったので小音量でもスピーカーから聴こえる音が大音量に聴こえたのかも知れません。
でも始めて聞こえる自作ラジオの音は40年以上たった今でもハッキリ覚えています。(けど、前述のとおり不安もある。)
それだったらもう一度挑戦してみたら面白いと思い、色々自作しました。

例の2石レフレックスラジオですが、音は小さいです。高周波増幅1段の後、検波、低周波増幅2段ですから当然です。昔、テーブルタップのコードにバーアンテナを近付け、音量を上げ聴いていたのを思い出しました。電波の強さが即音量の大きさになりますから、ACラインを大きなアンテナとして電波を強め、音量を上げていたのです。
しかし、現在ではACラインに雑音が多く、逆に放送が聴けなくなります。昔は凄くクリーンだったんですね。

 

回路図

↑ 4石スーパーは低周波出力段がB級シングルなのにそれほど歪みを感じません。出力トランスのお陰でしょうか。(中間周波が回り込まないように対策が必要です。)この出力トランス(ST-32)、実はこれらのラジオ部品の中で一番高額で、800円位だったと思います。これではあまりにもコストのかかり過ぎです。
ここでは世の中の流れに従って、低周波増幅段はICを使うのが得策です。NJM2135Dなら電源電圧2Vから使用でき、100円位です。オペアンプと同様ですから増幅度も自由に設定できます。
100円ラジオは100円ショップのラジオと100円ショップの300円アクティブスピーカーのアンプを使用してローコストに組み上げています。バリコン軸にネジが切ってなく、タップでネジきりしました。アンプの増幅度はラジオ用に高くしました。

↑ ICラジオは一発で良く鳴ります。TA2003Pのスーパーラジオは広帯域のセラミックフィルターを使用しており、なかなかの音で聴くことができました。TA7642のストレートラジオは、それなりの性能ですが、もっと小さいケースに入れ楽しむこともできる優れものと思います。

↑ スーパー用のバーアンテナも市販品が少ないのですが自分で巻くこともできると思います。スーパーは感度、選択度ともストレートと段違いですが、私は中間周波発振に悩まされました。中間周波発振とはバリコンを回し、放送が受信できる様選局しようとするとピユーンと発振するものです。離調すれば無音になります。強い局を受信するとピーのなかで誰かが喋っていることが分かります。
対策としては、
① IFTの同調側に抵抗を並列に接続しQを下げる。(回路図参照)
② トランジスタを増幅度(HFE)の低いOランクにする。
③ IFTの同調を一寸ずつずらす。(白コアを右にずらし、黒コアを左にずらすとか)
があります。
(と、昔の子供の科学誌に書いてあった。)

 

憧れの5球スーパーラジオ

中学生の時「初歩のラジオ」誌(現在廃刊)を読み、いろんな小物を作ったりするのですが、これはどうやっても無理、作れない、みたいなものがありました。それが5球スーパーラジオ(5つの真空管を使用するスーパーヘテロダイン方式のラジオ)です。トランジスタを使用した6石スーパーならできそうな気がするのですが、真空管では難しいのです。それは、
◎シャーシ加工が必要なこと。→それなりの工具が必要(お金もかかる)
◎大型のケースが必要なこと。→シャーシのままではかっこ悪い、と思っていた。
◎パーツが高価であること。→とにかく金がない。暇はあるけど。
◎250V程度の電圧を取り扱うこと。→昔は本当に寛容でした。子供の雑誌なのに平気で300V位は扱ってました。
そんな訳で、大人になったら、これを作ってやろうと真剣に思っていました。しかし、その後直ぐに真空管の国内製造が中止になり、現在まで作ってません。(1975年位だと思いますが「初歩のラジオ」誌では、まだ5球スーパーラジオの製作記事が掲載されていたのです。時代は既にトランジスタ、ICの全盛期です。初歩のラジオさんえらい!)
そんな折、職場の先輩からいただいたのがこれです。(尾崎さんありがとうございました。)

八欧電機 5LA205 2バンドトランスレス4球スーパーラジオ

↑ 八欧電機(ゼネラル)のトランスレスMT管4球スーパー5LA205です。トランスレスと言うのは商用100Vをそのまま整流してB電圧にするため、変圧器(トランス)の要らない方式です。真空管のヒーターも整流管と4球を直列にして100Vで給電します。

↑ 裏蓋を開けるとこんな感じです。右の超楕円形スピーカが時代を感じさせます。このラジオはMT管と言う小型の真空管を使用した昭和30年代後半のラジオでしょうか。(写真は手動パノラマ合成したので段差があります。)

しかし、先輩からいただいたものと言うのは大きなデメリットがあります。(失礼ですみません。)要らなくなっても捨てられないのです。普通の人なら壊れたら捨てても怒られませんが、この様な趣味を持つ私がいただいたと言うことは、「君ならば修理もでき、生涯大切に使ってくれるかも」みたいな期待を感じてしまうのです。(考え過ぎかもしれませんが。)と言う訳でメンテを始めました。不具合として、
◎受信ができない。→普通この時点でゴミとなります。
◎ブーンとハムがでる。→低周波部は生きている?新品時でもでていたかもしれません。程度の問題です。
◎ボリウムにガリがある。→古いラジオは大抵ガリがあります。
要はラジオとしての機能はなく、いつの間にかブーンと言う発振器になってしまいました。

↑ 昔の電化製品は必ず回路図が添付されていました。(裏蓋の内側に貼ってあったりします。)腕に覚えのあるやつは、自己責任で勝手に修理してね、と言うスタンスです。壊れたものは自分で直すと言う当り前のことが当り前だった時代です。現代では製造物責任が厳しすぎて、所有している機器の電池を取り換えるのにも販売店に出してね、みたいな時代です。エコロジーに真っ向から反する時代です。
なお、回路自体は標準的なもので、何処のメーカーでも2バンドトランスレス4球スーパーと言えばこの様な回路の様です。

↑ これだけは苦手です。チューニングダイヤルの糸掛け。何故糸が必要かと言うと、バリコン軸に大きな円盤を取り付け、それを糸で結んだ小さな軸に掛け、小さな軸をぐるぐる回してもバリコン軸は少ししか回らないと言う減速機構で、同調を取りやすくしています。また、糸を利用して横長の周波数定規の上に針を動かすことができます。しかし、糸のテンションがきついと掛けにくいし、弱いと空回りします。電気は得意だけど機械は嫌いみたいな人にとっては鬼門です。糸の掛け方法も裏蓋に印刷してありました。

↑  中身はこんな感じです。上中央の白いケースに入った局発用コイルが切れてましたので受信ができませんでした。始めは、コイルを巻き戻し再度巻き直そうと思いましたが、エナメル線が細く半田付けするだけで切れてしまいます。(半田こての熱でエナメルを溶かそうとすると線が切れる)
どうしようもないので、トランジスタラジオの発振用コイルで代用しました。

↑ 半分錆びていたチタコンもマイカコンデンサと取り換えました。昔のラジオは復活するととても良い音で鳴ってくれます。スピーカーと真空管の音だと思いますが、ぎすぎすした感じが全然ありません。まろやかに、それと力強く聴こえます。

↑ ハムの原因として真っ先に考えられるのが電源の電解コンデンサーの容量抜けでしょう。日本製とは言っても50年はとても使えません。
今となっては特殊な複合コンデンサーです。少々臭いけど分解し、中身を掻き出して、現代のコンデンサーを挿入しました。オリジナルのデザインには拘りたいと思ってます。チューブラ型でも代用できますが、ブロックコンデンサーがただの飾りになってしまうのも寂しいのです。

修理完了

修理完了です。これらのラジオはバーアンテナが内蔵されてませんので、必ずアンテナが必要です。数メートルのリード線で良いのでぶらぶらさせるか、感度の悪い場合は天井に画鋲で固定します。また、アンテナ端子のほかアース端子もあります。本当は地面に接地するのですが、これもぶらぶらさせてます。アンテナのリード線とは離して設置します。
この時代のラジオは、なんと良い音なんでしょう。スピーカーが良いのか、真空管が良いのか、妙に良い音です。
しかし、聴きたい番組がある訳ではありません。
ハムは小さくなりましたが、耳を澄ませるとバックでブーンと言っています。これがクリアになったら面白くありません。現代の最高級ラジオにはハム音の設定があり、これをオンにすると小さくブーンと鳴るのだそうです。将来、この設定の意味が分からなくならないことを祈ってます。
AM放送のFM移行は、やっぱり寂しいです。

 

↑ その後、こんなラジオも買ってしまいました。トランスレス5球FM、AM2バンドラジオです。FMの感度が悪く、かつAFCもありません。実用にするには一寸苦労します。
しかし、八欧のラジオの半分くらいの大きさで、なかなかのデザインです。これは昭和40年代のものでしょうか、日立製で、キャビネットはプラスチックでできています。

雑感

こんなものを弄っているとだんだんST管を使用した5球スーパーを作りたくなります。今では部品の入手が困難ですが、ネットオークション等では、いろんな年代のものが沢山出品されています。オークションアプリの「検索条件の保存」にずーっと入っているのですが、ポチる勇気がありません。勿論、修理できる自信はあるのですが、問題はその後です。保管するのには大きすぎます。それとAMなんか聴きません。(FMでサイマル放送してますしね。)
ちなみに家には、BCL全盛時代のスカイセンサー5900、クーガー2200等もありましたが、保管場所やメンテナンスのことを考え、格安で友人に押し付けました。死ぬまで大切に使っていただけるものと思っております。
最初に書いたことに戻ってしまいますが、このままでは、「ラジオの製作」と言う趣味が世の中からなくなってしまいます。どうすれば良いのでしょう。
良い考えがありました。FM放送をAMでサイマル放送したらどうでしょうか。世の中、FMファンは一定数います。FMの感度が悪い田舎ではAMで聴くと言うのはどうでしょう。
長岡鉄男さんが言ってました。「手段が目的になることを趣味と言う」と、ラジオを製作すると言う趣味のためにAMラジオ放送を残していただきたいものです。
昭和20、30年代、ラジオはハイテクの極致で、メーカー、アマチュアとも研究、製作に躍起だったのですが、今、製作を楽しむ人はごく少数なんでしょうね。学研でも科学の末期、付録はICラジオになって、製作感はあまりなかった様です。風前の灯となった趣味と言えます。
しかし、現在のレコード盤の復活状況から考えると、AMラジオの復活もあり得るのかなと思ってしまいます。(まだ、停波していない状況で言うのも何ですが)
レディオガガさん、頑張ってください。応援します。

おまけコラム(DSPラジオの製作)

DSPラジオにはマイコンチップが必要?

オールド自作ファンにとってマイコン(Aruduino、Raspberry Pi、PIC等)は鬼門となっており、それを使わなければ動作しないDSPラジオは自作の対象とはなってない様です。でも実は、古い者ほど新しい物が大好きで、何時かは「C」を勉強して組込みマイコンの実装されたDSPラジオを作ってやろうと画策しています。とは言うもののプログラミングなんて面倒だから勉強しないし、たまに勉強してもなかなか頭に入らないのが現実です。PICでLEDをチカチカさせるだけで大変なのに、これでラジオを作ろうなんて、全然先が見えません。

↑ これは市販品のDSPラジオです。(今どきDSPラジオ以外の市販品の方が少ないか。)バリコン、ボリウム、IFT等の機械部品が要らないし、無調整なので工業製品としてはスーパーラジオなんかより数段優秀と言えそうです。

マイコンの要らないDSPラジオIC

DSPラジオと言うのは、入力された電波を直ぐAD変換し、以降の処理をデジタルで行い、最後にDA変換し、音声出力を得ます。したがって、受信周波数、周波数間隔、音量等を全てPIC等のマイコンで制御することが必要になります。
マイコンを必要としないDSPラジオチップなどあるのでしょうか。
ところがありました。
シリコンラボラトリー社のSi4825A10です。

↑ シリコンラボラトリー社はオヤジの工作など相手にしてないのでSOPサイズです。ピンは1/20インチ間隔ですが、個人の工作としてはこれが限界です。これ以上小さくなるとプリント基板を製作するのが難しくなります。

マイコン無しでどの様に周波数等を設定するかと言うと、該当するピンの印加電圧を可変することにより周波数とバンドを決定します。同一周波数帯のバンドが複数設定されており、その各バンドで周波数間隔やエンファシスが異なっているので結構便利に使えます。中波、短波、FMで計41バンド(ピンの切り換えでプラス18バンドの59バンド)が用意されてます。

DSPラジオの特徴

遅ればせながらここでDSPラジオの特徴を説明します。
① 無調整です。スーパーヘテロダインの様なトッラキング調整が不要です。中波用バーアンテナ同調調整も自動で行います。(ただし、バーアンテナのインダクタンスは450μH以下でないと自動調整範囲に入りません。←スーパー用は使えない。)
② オールバンド、オールモードです。流石はデジタル。検波器も周波数弁別器もフィルターも全てデジタル処理により行います。
③ 自作に向いているかは疑問です。ラジオの自作は発振との戦いや、細やかな調整作業に面白味があります。DSPラジオはプログラム作成との戦いでしょうか。(うーん、興味ない。)

回路図

↑ 回路は単純です。ラジオチューナーICと低周波アンプICのみです。バンド選択とチューニングは2、3、4番ピンの電圧値により決定します。チューニングのボリウムには10回転ポテンショメータを使用しました。日本製は高価ですが、中華製なら数百円でなんとかなります。(軸がコンマ数ミリ太く、ダイヤルの内径をやすりで削り大きくしました。←結構大変だった。)ICの詳しい動作は分厚いデータシートを参照しないと分かりません。

とりあえず製作

↑ 基板の切れ端があったので高級なガラスエポキシを使ってます。他意はありません。ラジオICはパターン面、アンプICは部品面に取り付けますので、ピン配置を間違いないようにプリントパターンを作ります。上部の空きスペースにはバーアンテナを取り付けます。ラジオICとバーアンテナの距離が近いのでノイズを心配しましたが大丈夫でした。32kHzの水晶は発振しにくい様で、電源スイッチをパシッと入れないと(ウニュと入れるとだめ)動作しません。

↑ バラック状態での動作確認です。恐ろしやDSPラジオ、電源を繋いだだけでガンガン鳴りました。何の調整も不要です。(調整箇所がない)短波もFMも問題ありません。こんな簡単な構造でスーパーヘテロダイン並みの性能です。

完成

今回はFMも受信可能ですので、バーアンテナのほかロッドアンテナも実装しております。ケースの裏にチューニングダイヤルと周波数の換算表を貼ってますが(写真は剥がして撮影)、やっぱ一寸鬱陶しいです。
ところでデジタルは音質の良いものと思っておりましたが、AM放送の音質が微妙に良くありません。冒頭のAIWAのラジオでは右下に「AM帯域幅」の切り換えスイッチがあり、2k、4k、6kの選択ができるのですが、本ICは4kHzに固定されており、調整の鋭い6石スーパーの音質です。固定にするのなら6kHzにして欲しかったところです。

結果

DSPラジオの製作は、趣味としてどうか、?マークが沢山付いてしまいます。自作しているのに何故かキット感が強いのです。やはりトリマーやコアを回す調整作業がないと自作感が薄まってしまいます。
たぶん、自分でプログラミングして冒頭のAIWAのラジオみたいなディスプレイを実装したラジオができれば自作感満載になるのでしょう。それをするためにはもう少し勉強が必要です。これについてはST管5球スーパーの自作よりも敷居が高い気がします。気が向いたら取り組んでみることにします。