ビートルズのオリジナル盤(バナナ盤)
バナナレコードのビートルズUKオリジナル盤は2EMIボックス盤
ビートルズのオリジナル盤と言えば、当然、UKのイエローブラックパーロフォンレーベル(以下、イエローパーロフォンと言います。)でしょうが、そんなもの日常の生活で見たことはありませんでした。私の住んでいる愛知県と言えば中部地方ではそこそこ都会なのですが、県内の中古レコード屋で(とは言えバナナレコードを本拠地としているので、それ以外の店には、たまにしか行かない。)そんなものを売ってたのを見たことがありません。
現在では、このUKオリジナル盤の音質は最高!みたいな評価が定着している様ですが、1970、80年代の青年にとっては国内盤が何と言っても一番で、輸入盤屋に置いてあった米盤なんか安物に感じてました。
その頃でも、ジャズやクラシックであれば、輸入盤は音が良いと言われてましたが、ポップミュージックなんて音が悪くて当り前みたいな感じだったのです。(特に輸入盤は雑音が多く、反りもあると言われていた。)
巷で、ビートルズのUK盤は音が違うらしいと言われ始めたのは、インターネットの普及した2000年代に入ってからだと思います。それから直ぐに、UKアナログ盤の音質評価は最高で、国内盤はクズと言われるようになりました。現在もそうだと思います。(私自身はUK盤信者ではありませんが、一部そう思うところもある。)
ここで微妙な位置にあるのが、UK盤のシルバーパーロフォンレーベルで、1970年代から80年代にプレスされたものです。
これもビートルマニア(レコードマニア)からみたらクズに近いものなのでしょうが、地方人からみたら、正にオリジナル盤同等でした。(前述のとおりイエローパーロフォン自体を知りませんでしたし、UKでは最初のプレスからプレス終了となる1980年代後半まで、レーベルデザインが変更されても、レコード番号は変わらず、シルバーパーロフォン盤でもオリジナルと思ってました。)
最初にホワイトアルバムのUK盤をバナナレコードで見たときには感動しました。
↑ ホワイトアルバムのUK盤再発です。ジャケに通し番号は無く、レコードの取り出し口はサイドにあります。(国内盤と同様)アップルレーベルで、メンバーのポートレートは、余白部分が無く、長方形でした。
レコードコレクターズ誌でマトリクス枝番と言う言葉は知ってましたので、購入したUK盤ホワイトアルバムの盤面(送り溝)を見ると1枚目が「1/3」、2枚目が「1/2」でした。ジャケに通し番号の表記がありませんので当然再発盤です。
しかし、この枝番なら「ほとんどオリジナルじゃん」と思ってました。
肝心な音ですが、ベールを1枚剥がした音と言うか、鮮度が高く感じる凄く良い音です。本物のマスターテープからレコード作るとこうなるんだ、と感動したことを覚えてます。(後で分かったのですが、ホワイトアルバムのステレオ盤は1980年近くまでこの位の枝番だったみたいです。)
↑ Please Please Meのシルバーパーロフォン(2EMIのフリップバック)です。
なお、本盤は上下のみのフリップバックで1970年頃のみしか製作されなかった様です。
そんなこんなで、ビートルズはUK盤でなきゃだめだと思い始め、機会を見つけては買うのですが、その中でも特に国内盤と全然違う音のする盤がありました。(勿論、国内盤の方が良いものもあった。)
それをよく見るとジャケットの作りも一寸違う気がします。現在ならインターネットで直ぐそれが「フリップバック仕様」と分かるのですが、当時は「古臭いジャケ」と思ってました。フリップバックは1971年頃まで使われていた様で、再発盤としては初期の頃のものです。1970年代から80年代は糊付け部分が内側になるのが一般的な仕様になります。
要は、フリップバックのジャケットに入ったレコードは音が新鮮と言うことなんです。(気のせいかと思い、昨日、もう一度、聴き比べてみましたが、やっぱり鮮度が高いと思わせる音でした。)
↑ with the beatlesのシルバーパーロフォン(2EMIのフリップバック)です。店の商品シートでは2EMIと明記されてましたが、B面は1EMIでした。A面とB面でレーベルデザインが異なるのは米盤ではよくある話しかと思いますが、UK番でもあるんですね。普通の2EMI価格で販売されてました。
地元のバナナレコードでイエローパーロフォンを見たことは一度もありませんが、シルバーパーロフォンなら稀に見掛ます。(私はバナナレコード創業以来のファンなのですが、イエローパーロフォンは本当に一回も見たことないです。)価格もそれほど高くなく2~4千円だったと思います。(ジャケの傷み具合により値段が決まっているようです。表記されている場合を除き、バナナレコードで盤質の悪いものに当たったことはありません。)
レコード関連ユーチューバーの皆さんがよく言ってるのですが、「イエローパーロフォン盤は大概音が良い。」のだそうです。私もそうだと思います。(すみません、聴き比べたことはないです。)
何年か前、清水の舞台から飛び降りる思いで、1万円位するイエローパーロフォン盤を東京のレコード店で通販で購入しました。音は良いことは良いのですが、パチパチ音が止まりません。1960年代前半のレコードですから考えてみれば当り前です。当時の若者のオーディオ装置と言えばポータブル電蓄です。良い状態でレコードが残っているのは稀でしょう。(←この時点でイエローパーロフォンに対する憧れは消滅した。)
結論(地方におけるオリジナル盤とは)
長くなりましたが、安価で、盤の状態が良く、音が新鮮なのは、フリップバック仕様のジャケットに入ったシルバーパーロフォン盤である、と断言できます。(私にとってはオリジナル盤です。)
シルバーパーロフォンレーベルでフリップバックジャケットの盤は1969~1971年の短い期間に製作されたものと思われますが、バナナレコードで見掛ると言うことは、結構な数がプレスされたものと思われます。(価格が上がらないことを願ってます。)
なお、ビートルズも後期の作品に関しては、初盤がアップルレーベルになりますし、国内盤との音質乖離も極僅かです。
↑ インナースリーブは、こんな広告付きのものや、白いものに入ってました。広告の内容からしても1970年のものと思います。
がんばれバナナレコード
今年(令和6年)になってからバナナレコードの金山店が閉店してしまいました。仕事の帰りに週2で、新入荷コーナーを覗いていたのに残念です。岡崎店だけでも長く続いてくれますように祈ってます。
そう言えば、この頃、バナナレコードさん500円以下のコーナーを拡大してますが、クズレコ感が否めません。ブックオフの場合は、掘り出し物が出てくるワクワク感がありますが、専門店ではそれがないのです。ディスクユニオンの様になれとは言いませんが、もう少し考えた方が良いかと思います。40年以上通ったので、あと20年位は続けて通いたいです。頑張ってください。バナナレコードさん。