交響曲”HIROSHIMA”
全聾の作曲家が作ったら傑作で、サラリーマン風のオッサンが作ったら凡作ってなに?って感じですね。
これは佐村河内守さんのゴーストライターである新垣隆さんの告白本です。新垣さん自体は、おかしな依頼者(佐村河内さん)からの要請を受け、作曲の仕事をしただけですから罪は少ないと思います。
なので、この本に書かれていることは真実だと思います。虚構に嘘の理由をつけても何の得もないですもんね。
↑ ブックオフの200円コーナーで購入しました。平易な文章なので一気に読めます。
佐村河内守さんは、最初、映画音楽の依頼を請け負っていて、それが新垣さんのお陰で上手く行き、その後、ゲーム音楽を請け負う事になります。
これくらいにしておけば何の問題もなかったのですが、これのオーケストラ版を引き受けてしまいます。これが、そこそこヒットし、そのブックレットには「近年、交響曲に着手」の言葉が。
新垣さんも流石に目が点になったと思います。
この時点で既に佐村河内さんは全聾と言う設定です。これは宣伝効果抜群です。それと、佐村河内さんは被爆2世(これは事実らしい)でHIROSHIMAと言う交響曲のサブタイトルに重圧感がでます。
それと本人による自伝も出版(タイトルは交響曲第1番らしい)され、交響曲が実演される下地が整っていく訳です。
こうして肥大する虚像に抗うことができず、新垣さんの曲は初演を迎えてしまいます。また、CD化の話しもメジャーレーベルからあり、ここまで来たら詐欺としか言いようがありません。
このCDをベタ褒めした、三枝成彰さんや五木寛之さんらは、お銚子者と言うことがバレて大変だったと思います。NHKもそうです。密着取材のドキュメンタリー制作時に「お前、聞こえるじゃねーか」と思ったはずです。これをそのまま放送するなんて、受信料返せ!って感じです。
要は、音楽の正当な評価に関係なく、ストーリーだけで評価や売り上げが雲泥の差となる訳です。資本主義って恐ろしいですね。(このCD、クラシックとしては異例の1万枚以上を売り上げたらしい)
↑ LP盤も中古レコード屋でよく見かけます。これはブックオフのCDで購入しました。
新垣さん自身は、この交響曲を、ゲーム音楽と言ってます。芸術作品ではなく、既存の楽曲の二番煎じと言うことでしょうか。大河ドラマのタイトル曲みたいなもの、とも言ってます。(なんと謙虚な人、感動します)本当の音楽家なんて、こんな感じなんでしょうね。
そう考えると、このCDも安心して聴くことができます。