音の良いフォノイコライザーアンプ(MC用)は色々あります。フォノイコライザーは通常プリアンプに内蔵されてますが、アナログ全盛期、超高級なものは別売されてました。(現在は別売が普通ですが)これらの中で最も特徴的だったものとしてヤマハのHA-2があります。
HA-2の特徴は
①カートリッジ側に初段アンプの一部が取り付けられている。
②回路がモジュール化されている。
③ハイゲインで、MCカートリッジからの信号をラインレベルまで増幅する。
④大容量ケースマイカ、大容量ケースポリプロピレンコンデンサー等高級な部品が使用されている。
現在、その人気の高さから某オークションで、ジャンク品でも5桁の値段が付くようです。困ったものです。
外観は下のとおりです。
私の使っていたものは故障し、出力の保護回路が解除されない状態になってしまいました。原因を探っていくと、電源モジュールが不良となり電源出力の24Vがアンプモジュールに供給されていません。しかたなく某オークションでジャンク品を購入し、ニコイチで修理しようと思いました。
しかし、何と、購入したものも同じところが故障しているではありませんか。途方に暮れましたが、自分で修理することにしました。
修理の開始
24Vの単電源ですから、簡単に済ませば3端子レギュレターIC1個でも良いのですが、設計者の意図を汲んでシャント型レギュレターを製作しました。シャント型レギュレターとは簡単に言えば定電流源と定電圧ダイオードの組み合わせで、定電圧を得る方法であり、効率のあまり良くない方法ですが、元の電源回路にアンプモジュールの音声電流が流れないため、音質が良いと言うことで当時は好んで使われたようです。
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故障モジュール
中央のモジュールが故障しています。中央3つのモジュールはすべて電源モジュールなので3つとも取り外します。
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パターンの作成
まずは原版を作りフィルムに印刷します。原版制作はフリーソフトで行いました。右はリードリレーの変換基板で関係ありません。
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感光ポジ基板に転写
蛍光灯の紫外線により基板に原図パターンを転写します。
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基板の完成
現像、エッチングの後、穴あけしプリント基板の完成です。
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基板の取り付け
作った基板を外したモジュールの代わりに取り付けます。主基板の放熱器の取り付け穴に製作した基板を取り付けられるようにしました。
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使用したIC
シャント型レギュレター用のICです。電圧可変のできる定電圧ダイオードみたいなものかな。電流容量が足りませんのでトランジスタでブーストします。
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サテライトアンプ
サテライトアンプも作って本体側に内蔵しました。本当はヘッドシェルに取り付けるのですが面倒ですよね。
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サテライトアンプ接続
入力端子とメイン基板の間に製作したサテライトアンプを挿入します。ヤマハさんすみません。
また、カートリッジ側に初段アンプの一部(サテライトアンプ)が搭載されているため、専用のヘッドシェルしか使うことができず不便です。この際このサテライトアンプは本体側に引っ越していただきましょう。(サテライトアンプを新規に製作しました。)
このフォノイコライザーアンプはRIAA素子に箔抵抗とマイカコンデンサーが使用されており、それだけでいい音がします。実はこのマイカコンデンサー新品で購入すると1個、数千~万円はします。(売られていればの話で、現在売られておりません。)「魅惑の真空管アンプ」の浅野勇さんや「オーディオDCアンプ」の金田明彦さんが絶賛していたのが懐かしいし、よく分かります。DCアンプでカップリングコンデンサーが必要ない場合でも、マイカコンデンサーでカップリングした方が音が良くなるんです。オーディオ七不思議です。
最後に回路図を掲載します。
下図がオリジナルHA-2(基板起こしなので間違っているかもしれません。)ただの参考です。