たぬきうどんの謎。
小さな頃から、祖母がうどん好きだった事が大きく影響して、うどんが大好きだった。住んでた所の近くにうどん屋があった為、よく一緒に行ったものだった。
私のお気に入りは、いつでも「たまごとじ」だった。またこの店のたまごとじは独特で、丼の表面全体を卵がおおっているので、それも気に入ってた。今、このエッセイを書いてて、思ったのだが、祖母は何を食べてたのかなあ?祖母と私と母の3人共通のキライ系は、味噌煮込みなのだ。祖母と私の2人共通キライは、ニカケである。母と祖母の共通キライは、カレーうどんなのだ。まとまりのないような、あるような3人だと、思う。そもそも母は、うどんは外食するモンじゃないと思ってるのだが、祖母に負けて、お付き合いしてたようだ。多分、祖母はザルソバだったと思うけど・・・。
一方、私は母と2人で、うどん屋へ行くのは好きでなかった。母はどこに行ってもそうだが、人の注文するモノに一言つけ加えるのだ。
例えば、回転すしで、気に入ったネタを、もう一皿取ろうとすると、「また、同じモン食べるの〜?」と、必ず言って、私を不愉快にさせる。
焼肉屋では、私の食べるレバ刺しに「気持ち悪い」等を言うし、話を元に戻して、うどん屋でも、同じでカレーうどんを頼むと、「そんなモン食べるの?」という、自分が嫌いだからだ。
小さい頃「月見うどん」に興味があって、頼んだら、なるほど、月見よろしく生卵が、うどんのセンターに浮かんでる。とき卵で、食べるのも美味しいと、思ったが、彼女は「そんなもの、ウチで食べれる。」と言い放った。
その癖は今だにぬけないので、私は彼女を外食に誘わない事にしてる。だからやたらと、違うメニューが頼めなかったのだ。
ところで、「月見うどん」というのは、重複するが、生卵をお月様に例えた、なかなか分かりやすいネーミングだと思う。小さい頃って、これが楽しかったのだ。「きつねうどん」はお揚げがのっているのだが、これがまた、甘くて美味しい。しかし、きつねは肉食なので、油揚げなんて食べないのでは?
「おかめうどん」も謎だった。一体どんなうどんなのだろうか?実はやっと知ったのだが、野菜のあんかけ風なのだね、これがまた。全然「おかめ」と関係ないじゃん。とても情けないが、私は小さい頃、コドモ向けのうどんで、「おかめ」のお面付きうどんだと、勝手に決めつけていた。だから、お面なんて欲しくないので、頼まなかったと思う。
余談になるが、「おかめ」だが、私は高校を西三河方面に進学した為に、比較的、生活風習が違ったのだ。電車内での他校の会話が、少々尾張弁が混じってる事もそうだが、「おかめ」、「あんぱん」、「じょんぼー」の3つを理解するには、しばらく時間がかかった。結論からすれば、「おかめ」=岡崎女子高、「あんぱん」=安城学園、「じょんぼー」=城西高校だった。皆さん、色々考えるものだ。
話が戻って、メインの「たぬきうどん」だが、これが最大の謎だった。私は幼い頃(今でもそうだが)は日本昔話のフリークである。
大抵の話において、「たぬき」=「悪役」なのだ。だから、「たぬきうどん」って丼じゃなくて、ぶんぶく茶釜に入ってて、フタを開けて、うどんを食べるのか?
それともたぬきの肉でも入ってるのか?等等、とにかくたぬきをおしおきしてる、うどんなのかと思ってたので、小さい頃は怖くて注文できなかった。
その後、私も大きくなり、次に「たぬきうどん」と言うか、その正体に出会ったのは、学生食堂だったのだ。
「てんかすうどん」なるメニューがあったので、なんだこりゃ?と思ったが、「てんかす」=「てんぷらのかす」=「捨てるところ」の図式が、頭に浮かんだので、在学中は手を出さなかった。そもそも、学食なんて、不味いしねえ。
さらに働くようになって、やっと「てんかす」と「たぬき」が同一のものだと、知ったのだ。お客様との会話によるものだが、なるほど「てんぷらうどん」なら、確かにてんぷらからダシがでて、スープが美味しくなる。その理屈で、てんぷらの衣のみを利用したのが、「てんかす」であり、「たぬき」だったのだ、なるほど。
もしかしたら「たぬき」の「た」と「ぬき」は、てんぷらうどんの「た」の字の部分、つまりメインのエビを指していて、それを「ぬき」で抜いて、うどんと天ぷらの衣が残るから、「たぬきうどん」かもしれないね。自分の理論だけどさ。まあ、違ってても狸に化かされたと思ってちょーだいね(笑)。